薬誤投与で18歳死亡の報道・高石市
薬誤投与で18歳死亡の報道・高石市
アドレナリンを間違って筋肉注射を静脈内投与してしまったとのことだ。。。。
薬の誤投与で患者死亡 男性医師を書類送検(読売テレビ) - Yahoo!ニュース
自分も何度か使用した経験はあるが、アドレナリンを救急外来で使用する状況は限られる。
自分が経験したのはアナフィラキシーショックと心肺停止時の二つ。
おそらく多くの医師は、アドレナリンを使用するならこのアナフィラキシーと心肺停止に限られるのではないかな。
同じ薬品であるのにもかかわらず、使い方は全く異なり、さらに生体へ及ぼす影響も全く異なる。
さらに、筋肉注射の量が0.3mg程度なのに対して、心肺停止時の静脈内投与量は通常1mgであり容量も異なる。
投与量も投与経路も異なるため全身に循環するスピードも全く異なってしまう。
通常、商品名:ボスミンが使用されるが、このアンプルの中には1mlの液体が装填されており、1mgのアドレナリンが含まれている。
筋肉注射の場合はここからツベルクリン用のシリンジでアンプル内の30%を装填して筋肉注射したり、アナフィラキシー用のエピペンという製剤化されたもの使用をする。
それに対して、心肺停止時の静脈内投与はいわゆる『ワンショット』という急速投与。
基本的には心肺停止時以外には静脈内投与は避けるべきとされている。
しかし、これに関しては様々な意見があり、非常に悩ましい。
アナフィラキシーに限らず、ショックの時は静脈投与するという意見もあるし、ゆっくり持続静脈投与するという意見もあるのだ。
こればっかりは当事者の医師の経験と判断にゆだねられる。
実際、当直中に遭遇するのは当院では圧倒的に心肺停止。
つまり急速静脈内投与をするケースが圧倒的に多いのだ。
これはどこも一緒じゃないかな。
医師の中にはアナフィラキシーにアドレナリンを投与した経験が無い人もいるだろう。
そのような事を考慮すると、今回の事故は、心肺停止に対してアドレナリン静脈投与しかしたことのない医師が、アナフィラキシーに対しても同様の使用をしてしまったのかもしれない。
年齢的にはある程度上級医であり、ひさしぶりの当直だったのだろうか。。。
このような事故はいつ自分が当事者になるかわからない。
明日からも気を引き締めて、仕事に臨もうと思う。。。
自分が現場にいたわけではないため全ては憶測であるが、いずれにしろ、患者さんやご家族のことを思うと非常に無念だ。
ただただ、亡くなられた方のご冥福をお祈りします。